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コラム

日本人洋画家にも影響を与えた、まるたん。印象派の画家。

2025年01月21日 更新

日本で特に人気の絵画といえば印象派の作品ではないでしょうか。

昨年2024年は第一回印象派展(1874)から150年という印象派グループにとっての周年でした。そんなことから、今回は印象派を継承したフランスの画家アンリ・マルタン(1860-1943)と彼の作品をご紹介します。

日本では馴染みは薄いマルタンですが、今日では「最後の印象派」と称される画家たちの中心的な存在とされています。

印象派を継承しながら新印象主義や象徴主義の表現を取り入れ、独自の様式を確立しました。鮮やかな色彩を用い、抒情的な風景や人々の営みの情景を描き、下記のような花が活けてある花瓶の静物画も多く制作しています。

アンリ・マルタン《牡丹の花瓶》(制作年不詳) 油彩/板 諸橋近代美術館蔵

牡丹の柄が施されている白い花瓶に、鮮やかな赤色の花が活けてある当館所蔵の《牡丹の花瓶》(制作年不詳)。点描を用いつつも、目の前にあるものを瞬時に捉える素早いタッチと印象派由来の光の表現からは、貪欲に様々な絵画手法を吸収しつつ自らの様式を模索していることがうかがえます。

実はマルタンの作品に強く影響を受けた日本人がいます。洋画家の斎藤豊作(1880-1951)です。豊作は埼玉県の南埼玉郡大相模村という現在の越谷市出身であり、筆者(西洋近代絵画を中心に調査・研究する当館の学芸員の一人)も同じく越谷市出身であるため、この作品を観るたびに不思議な縁を感じます。

アンリ・マルタンの《牡丹の花瓶》は、当館で開催する「ととのう展(4/12〜)「よりみち展(7/19〜)」にて展示を予定しています。機会がありましたら、展覧会会場にて作品をご覧いただけますと幸いです。

※展示予定が変更になる場合がございます。予めご了承ください。


 

★斎藤豊作:埼玉県南埼玉郡大相模村(現在の越谷市)出身。フランス留学の際に印象派の手法を身につける。帰国後「二科会」の創立に尽力し、自身も作品を発表する傍ら、鑑査員としても活躍する。鮮やかな色彩と点描を用いた作風は、当時の画壇からも注目された。

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