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コラム

【ダリが与えたショックとは?コラム①】大きな雲、蟻、貝。ダリ愛溢れる表現、ハッケン!

2021年04月14日 更新

渡辺武《祈り》1938年 油彩・キャンバス 板橋区立美術館蔵


渡辺武はダリの影響を受けていたと思われる画家の一人です。彼が参加していた同人グループ「ジュンヌ・オム」ではメンバーの多くがダリ風の作品に制作しており、渡辺が描いた本作もそんなダリの影響を色濃く感じさせる作品です。彼方には地平線が広がり、平野には表情の見えない人物が何人か描かれています。
とりわけ大きな雲は、よく見ると人の横顔のようにも見えます。これはダリが得意としたダブル・イメージ(二重像)という手法を用いたものです。さらに画面を細かく見ていくと平野には白い貝のようなものがポツリポツリと描かれ、白いドレスを着た女性の視線の先には蟻が群がっているように見えます。平野に転がる貝や、群がる蟻というモチーフもダリの作品に度々登場するモチーフです。
本作では構図だけでなく、描かれている様々なモチーフもダリの作品に頻出する表現と多く重なっており、渡辺がいかにダリに傾倒していたかがうかがえます。1945年に若干29歳で戦死してしまった渡辺が、当時どんなダリの作品を目にしていたかは想像することしかできませんが、本作からはダリのオマージュともいうべきダリへの敬愛の想いが感じられます。

 

ダリの作品と見比べてみよう!

サルバドール・ダリ《無題(風景)》 1947年 油彩・キャンバス 諸橋近代美術館蔵

\ 上記2作品は下記展にて展示中 /
Shock of Dalí ショック・オブ・ダリ 〜サルバドール・ダリと日本の前衛〜
会期:2021年4月24日(土)〜6月27日(日) ‖会期中無休‖9:30〜17:00(最終入館は16:30まで)

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