2025年10月05日 更新
まだ写真が普及していなかった時代、特に18世紀のイギリスにおける特定の地域が描かれた絵画やシリーズものの版画は、旅行ガイドのような役割を担っていました。現代のところの『るるぶ情報版』のような旅行記が18世紀にすでにあったことにとても驚きます。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ストーンヘンジ》1829年 郡山市立美術館蔵
イギリスの著名な画家の一人であるターナーもまた、先輩画家たちが描いた遺跡や自然風景の地を数回に分けて計画的に訪れ、自らも多くの作品を残しました。特に1792年から99年までの8年間で5回に渡ってウェールズ地方に訪れた際は、旅先で立ち寄った遺跡や城跡、風景を描いており、のちに『イングランドとウェールズのピクチャレスクな景観』としてまとめられました。
掲載している《ストーンヘンジ》も旅先の一つだったとされ、少なくとも2度訪れていたそうです。ターナーもまた旅行記をもとに自ら足を運んでいたというと、なんだか親近感が湧いてしまいますね。
現在開催中の展覧会「よりみち展 〜美術のみかたが広がるよもやま話〜」(2025年11月9日(日)まで開催中)ではターナーをはじめとするイギリス風景画家や印象派などの風景画を展示しています。絵画を通して当時の風景を楽しみ、世界旅行気分を味わってみるのもまた一興ではないでしょうか?

