2025年07月15日 更新
「作品をどのようにみれば良いのかわからない」
誰もが一度は美術館で経験する悩みだと思います。どうすればより面白くみることができるのか、今回は画家ルノワールの風景画からご紹介いたします。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《モーリス・ドニ夫人》1904 公益財団法人諸橋近代美術館蔵
ルノワールといえば上記作品《モーリス・ドニ夫人》のように柔らかな女性像といった肖像画をイメージする人も多いかと思いますが、実は風景画にも力を注いでおり、1870年代に制作された油彩画作品の全体の4分の1を、風景画が占めています。
例えば下記作品にも見られる靄(もや)がかかったような表現は、彼の画肌のこだわりがうかがえ、批評家からも人物画と同じくらい技法が変化に富んでいるとさえ言わしめました。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《パリ郊外、セーヌ河の洗濯船》1872-1873 公益財団法人諸橋近代美術館蔵
ルノワールを人物画家だけでなく、風景画家として見てみると、画家として評価が確立されるうえで風景画がどのような役目を果たしたのかも見出すこともできます。
作品のみかたを変えてみると新たな発見があったりします。また、一見すると関係のない作品でも意外なところで繋がっていたり、作品を通して線と線で結ばれていることが多々あります。
諸橋近代美術館では、会場内を自由にめぐり、作品を様々な切り口から紹介する「よりみち展 ~美術のみかたが広がるよもやま話~」が2025年7月19日(土)から開幕します。