2015年07月05日 更新
当館では2014年7月、サルバドール・ダリ、ヴァランティーヌ・ユゴー、ガラ・エリュアール、アンドレ・ブルトンの4人による共同制作絵画《甘美な死骸》を新たに購入致しました。「甘美な死骸」とは、20世紀フランスのシュルレアリストたちの間で流行した言葉遊びのことです。
この遊びによって作られた文章や絵は一様に《甘美な死骸》というタイトルを持ちます。シュルレアリストたちはこのほか、「自動記述」や「コラージュ」と呼ばれる、遊び心を出発点にしたような斬新な技法でシュルレアリスムの世界を探求していきました。ダリは1934年頃までこのグループに参加しています。自らを〈jeux(遊び、たわむれ)〉と呼び、シュルレアリストたちとの交流から学んだ技法や思想を発展させた独自の制作手法は、まさに「遊び」と呼ぶにふさわしいものでした。
本展では、新収蔵作品《甘美な死骸》を含むダリやその周辺作家の作品およそ60点から、ダリの手法やモティーフについて「遊び」というキーワードから読み解き、ユーモアに満ちたダリの世界観をお楽しみいただきました。