2017年04月21日 更新
「6歳の時、私はコックになりたかった。」ー サルバドール・ダリ
20世紀を代表する芸術家、サルバドール・ダリ(1904年~1989年)は、スペイン北東のカタルーニャ州に属する都市フィゲラスの出身です。カタルーニャ州はスペインの中でも独自の文化を築いた土地で、料理に関しても例外ではありません。肥沃な大地と地中海の恵み、そして多様な民族との交差によってもたらされた食文化から、スペイン随一の美食の地とも呼ばれています。この地で生まれ育ったダリは大変なグルメでしたが、それ以前に、彼は「食」に対して奇妙な執着を持っていました。
「6歳との時、私はコックになりたかった」という書き出しで始まるダリの自叙伝『わが秘められた生涯』(1942年)には、富裕層の出身であるが故に台所への出入りを禁じられ、食物への欲求を抑圧された幼少期の回想が詳細に綴られています。多様な食物に対して向けられた関心は、やがて芸術家としての人生を歩み始めたダリの作品にも反映されるようになりました。
企画展「ダリの美食学(ガストロノミー)」では当館のコレクションより約62点のダリ作品を展示します。ガストロノミーとは食材の調理方法に留まらず、料理を中心として様々な文化的要素で構成される学問です。「美とは可食的なものであろう」という言葉を残したダリの、奇妙な食の世界に迫ります。
【イベントの模様】
【定例ギャラリートーク】
毎週日曜・祝日10:30〜ギャラリートーク開催!学芸員が展示作品の見どころを分かりやすく解説します。
※観覧券があればどなたでも参加可能です。
【メディアの皆さまへ】
本企画展プレスリリースはこちらをご覧ください。
【同時開催】<コレクション展>サロン・ドートンヌを彩った巨匠たち
近代以降、フランスでは多くの芸術活動が起こり、様々なイズム(主義)が生み出されてきました。フォーヴィスム(野獣派)やキュビスム(立体派)もその1つです。これらに代表される20世紀美術の舞台となったのが、フランスで毎年秋に開かれた展覧会「サロン・ドートンヌ」でした。1903年から始まり今日まで続くこの展覧会には、センザンヌやルノワール、マティスやルオー、藤田嗣治といった近代美術を代表する画家たちの作品が出品され、多くの芸術家たちに影響を与えてきました。
今回のコレクション展では「サロン・ドートンヌ」の創立メンバーを中心に同展への出品経験を持つ画家の作品をご紹介し、20世紀の西洋美術の変遷を辿ります。
<<イギリスの現代アーティストP.J.クルック(パメーラ・ジューン・クルック)の作品も多数展示>>