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コラム

視点を変えると見えてくる

2016年04月18日 更新

海の情景のなかに、浮き輪を付けてぷかぷかと浮かぶ人やおもちゃの船で遊ぶ人、後方には沢山の泳ぐ人々が見えます。クルックは、こうしたレジャーの光景や駅の雑踏など、多くの人が集まっている場面を題材にしました。楽しそうに遊ぶ人らに紛れ、画面右下に紙帽子を被った子どもが描かれています。新聞紙で出来たこの帽子は、クルックの父がまだ子供だった彼女によく作ってくれた思い出の品だといいます。この子どもは、彼女自身の姿でしょうか。顔の左半分は見切れています。しかし、このカンヴァスは波型になっていて、横から見ると、もう半分の顔も描かれていることが分かります。ユニークな変形カンヴァスを使うことが多いクルックの作品は、視点を変えることで新たな発見を得られるところも魅力的です。

 

パメーラ・J・クルック(1945~ )、《紙帽子》、1995年、 波型木枠に張ったカンヴァスにアクリル、公益財団法人 諸橋近代美術館所蔵、 ©P.J.Crook 2016

パメーラ・J・クルック(1945~ )、《紙帽子》、1995年、波型木枠に張ったカンヴァスにアクリル、公益財団法人 諸橋近代美術館所蔵、
©P.J.Crook 2016

 

紙帽子-部分

右側面から見た《紙帽子》 ⓒP.J.Crook 2016

執筆者:学芸員 髙瀨友佳理
※主文は2016年1月16日(土)、1月30日(土)河北新報広告欄に掲載されたものを加筆修正しています。

 

 

 

 

 

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