2012年11月01日　更新

ダリは、4歳年下の妹アナ・マリアの肖像画やデッサンを多く描きました。若いダリにとって妹や従妹は、リラックスして自分の才能を発揮できる最も身近なモ デルだったのです。公開中の新収蔵作品「アナ・マリア・ダリの肖像」はダリが22歳の時に描いたものです。カールした髪や長い睫毛、頬骨など顔の特徴が良 く捉えられているのがわかります。アナ・マリアは、ポルト・リガトの風景が見える窓辺の部屋で兄のために何時間も同じポーズをとり続けたそうです。

この頃、ダリはバルセロナのダルマウ画廊において2年連続で個展を開き、有望な新人として名を上げました。作品の特徴はフェルメールの写実主義、ピカソの古典主義やキュビスム、アングルのデッサンなど巨匠たちの影響を受けたものでした。

いずれの個展のカタログにも、妹の肖像が描かれています。「アナ・マリア・ダリの肖像」は、2度目の表紙に使われた原画なのです。ダリといえば、幻想的なダブルイメージの絵画が印象的ですが、初期の基本的なデッサンが後の成功の下支えになっているといえます。