2015年02月13日 更新
美術館の日常業務には、「作品の状態点検」というものがあります。作品ひとつひとつをじっくりと観察し、異常がないかを確認する作業のことです。
・ゴミは付いていないか?
・変色や褪色している箇所はないか?
・ぶつかった痕やひっかき傷はないか?
・絵の具や塗装は剥がれていないか?
・額装やケースの強度に問題はないか?
・虫やネズミに齧られていたり、フンはつけられていたりしないか?
・巣を作っていないか?
・卵は産みつけられていないか?
・湿っていたり、乾燥しすぎたりしていないか?
・カビは生えていないか?
ざっと挙げられるだけでも10項目ほどをチェックしています。例えば、この点検中に変色しているような箇所が見つかれば、その原因を探ってみます。太陽光や照明による日焼けなのか、汚れが付着したのか、カビによる着色なのか、虫のフンなのか、目視で分かるところまで推測してみます。こうした作品に対する全ての異常は点検票に記録され、保存や修復のための資料となります。
美術館は収蔵する全作品を適切に管理しなければなりません。それを全うするためには日ごろから細心の注意を払って作品と向き合い、どんなに小さな変化も見逃さないことが大切です。
執筆者:学芸員 齋藤友佳理