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コラム

ダリの紡ぐ物語

2017年09月23日 更新

現在、諸橋近代美術館ではテーマ展「ダリの挿絵版画〜絵を読む、物語を見る。〜」を開催しています。
テーマ展の開催を記念して今週の日曜日、9月24日にテーマ展スペシャルギャラリートーク「ダリの紡ぐ物語」を開催いたします。
テーマ展の担当学芸員がツアー形式で、展示の魅力をご紹介しますので、是非ご参加ください。

今回のテーマ展ではダリが描いた3つの物語が登場します。
1つ目はフランス人ビゼーが作曲したオペラ「カルメン」です。
このオペラは同じくフランス人のメリメが書いた同題小説『カルメン』を原作に作曲されたもので、
自由奔放な美しい女性カルメンと、生真面目な軍人ドン・ホセの愛憎劇が歌われています。
愛ゆえに最愛の女性カルメンを殺してしまうドン・ホセをダリはどのように描いたのでしょうか?

2つ目はスペインの小説家セルバンテスの著した長編小説『ドン・キホーテ』です。
主人公のドン・キホーテは、騎士が世を正すため竜や巨人と戦い姫を助けるといった冒険小説が大好きでした。
大好きな冒険小説を毎日毎日、朝から晩まで読みふけった結果、ドン・キホーテは竜や巨人が実在するものと信じ込んでしまい、ついには自らも冒険小説の主人公のように世を正す旅に出ます。
現実と空想の区別がつかなくなったドン・キホーテが繰り広げる滑稽な冒険譚は今日も世界中で読まれています。
奇才と謳われた芸術家ダリは、狂人と呼ばれた男ドン・キホーテを火縄銃を使ったユニークな技法で表しています。

3つ目はイタリアの詩人ダンテが綴った長編叙事詩『神曲』です。
主人公ダンテは、死の淵を想い人ベアトリーチェに助けられ、死後の世界である地獄、煉獄、天国を旅します。
西洋の死後の世界のイメージにはこの『神曲』の世界観が強く影響していると言われています。
ダリにとって死後の世界とはどのような世界なのでしょうか?

私たちが物語を読むとき、頭の中には果てしない空想の世界が広がっています。
誰もが自分だけの物語の世界を頭の中に紡いでいるのです。
今回のテーマ展に登場している作品の数々は、ダリが空想した物語の世界の断片です。
ビゼーはメリメの小説の世界を音楽で紡ぎだし、ドン・キホーテは冒険小説の世界をありふれた現実の中に紡ぎだしました。
そしてダリは、これらの物語を絵の中に紡ぎだしました。

今週の日曜日、9月24日に開催するテーマ展スペシャルギャラリートーク「ダリの紡ぐ物語」では、
作品や物語を通して、ダリが紡いだ物語の世界に迫ります。

〈テーマ展スペシャルギャラリートーク「ダリの紡ぐ物語」〉
日時:9月24日(日)14:00〜14:45
会場:展示室内 集合場所:展示室1入口前
参加無料 ※要観賞券
予約不要
詳細:http://dali.jp/event-page/2151

執筆者:学芸員 佐藤芳哉

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