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コラム

お手製「わくわくウォール」とは?1枚の遮光壁をめぐる美術館スタッフの試行錯誤。

2026年06月09日 更新

現在、私たちはより良い鑑賞環境をつくるための準備を進めています。その一環として、このたび展示室に「自動扉」が導入されることになりました。

自動扉をつけることによって、展示室内の空調を一定に保ち、安定化を図ることができるようになります。これは、デリケートな作品たちにとって非常に安全で優しい環境をつくることへと繋がります。

しかし、環境が安定する一方で、解決しなければならない課題もあるのでした。


 
開くたびに差し込む「光」をどう遮るか?
美術館において、作品を守るための「光のコントロール」は重要な任務の一つです。

自動扉が導入されると、お客様が行き来して扉が開くたびに、外からの自然光が展示室内に入り込んでしまいます。これまでは展示室内に遮光壁があり、それで光を遮っていましたが、今回の工事ではより一層、徹底した遮光環境を目指しています。

繊細な作品たちを守るためには、彫刻ホールから展示室へと漏れる自然光を遮断する「遮光壁」がどうしても必要でした。しかし、この壁の「置き場所」が大きな問題となったのです。

これまで展示室の入口に自動扉は存在せず、このような遮光壁(兼 展覧会名のタイトル看板)を設置していました。


 
選択肢①:自動扉の内側(展示室の中)に置く ⇒ 光はしっかり遮れますが、展示室のスペースが狭くなり、今後の展示の自由度やレイアウトの幅が狭まってしまいます。

選択肢②:自動扉の外側(彫刻ホール側)に置く ⇒ 展示室は広く使えますが、彫刻ホールが持つ特有の美観や開放感を損ねてしまうのではないか。


 
悩むなら作ってみよう!現れた「わくわくウォール」
図面やイメージパースを見て悩んでいると、設備担当スタッフから頼もしい言葉が飛び出しました。

「つくりますよ」

そうして、図面上の議論を現実にするための「実寸大の検証用壁」が、なんとわずか数時間で立ち上がったのです。

本人曰く、この壁の名前は「わくわくウォール」。(「わくわくさん」を見て育った世代感が、そこはかとなく伺えます)。

しかし、この壁の活躍は名前以上のものでした。実際にこの実物大の壁を現場に置いてみることで、

「外側に置いても、この角度ならホールの美観を損ねないのではないか」

「車椅子の方がスムーズに行き来できる通り幅は確保できているか」

「光を遮るための高さは、どこまでギリギリを攻められるか」

「もう少し薄いと圧迫感や存在感が軽減されるか」

といった、極めてリアルで具体的な検討が一気に進むようになりました。


 
快適な美術館を目指して
お客様が心地よく作品と向き合える空間。そして、大切な作品たちが次の世代へと美しく受け継がれていく空間。

その両方を成立させるために、美術館の裏側ではスタッフたちが日々、こんな風に試行錯誤を繰り返しています。

この「わくわくウォール」による徹底的な検証を経て、一体どんな空間が完成するのか、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
 


 

〜諸橋近代美術館は現在改修工事のため長期休館中。2027年4月頃再開館〜

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