2017年02月27日 更新
1929年、ダリはフランス・パリに赴き、無意識や非合理の世界を表現して精神の解放を試みた思想運動「シュルレアリスム」のグループに参加しました。
1933年、ダリは女性の半身マネキンを用いて《回顧的女性胸像》というオブジェを制作しました。マネキンの頭上に置かれたのは、なんとフランスパン。更に、首にはトウモロコシが掛けられています。奇妙な場所に配置された食品は、まさに非合理を表現したものと言えるでしょう。
この他にも、ダリは角砂糖やリキュール、ロブスターなどの様々な食品を使用してオブジェを制作しました。食べ物を鑑賞用のオブジェにすることで食べられなくしてしまう、ダリの挑発的なユーモアが窺えます。
執筆者:学芸員 大野方子
※主文は2017年1月14日(土)河北新報広告欄に掲載されたものを加筆修正しています。