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コラム

新年早々、落書きの正体とは・・・ダリはじめシュルレアリストたちもたしなんだ「甘美な死骸」!?

2025年01月08日 更新

新年あけましておめでとうございます!本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、新年のご挨拶に不相応な落書きを失礼致します。一体これは…実は4人リレー形式で完成させたもの。1920~30年代頃、サルバドール・ダリが所属したシュルレアリスムグループの中で流行っていた遊びでもあります。遊びの名は「甘美な死骸」。

元々、複数人が前後の言葉を伏せて一つの文章を作るものであり、「甘美な/死骸は/新しい/ワインを/飲むだろう」という偶然に生まれたフレーズからこの名前が付けられました。その後「甘美な死骸」は文学だけではなく絵画にも応用され、シュルレアリスム(超現実主義)の芸術家たちは完成した奇想天外な絵を楽しんだのです。

1枚の紙を4等分にし、頭・胸・腰・足をイメージしながら自分のパートを描きます。描いたら自分のパートを隠し(繋ぎ目だけ少し見える状態にする)、次の描き手にバトンタッチします。前者が何を描いたか知らされない状態で自分のパートを描くため、無秩序で脈絡のない絵が出来上がるのです。

2025年最初の美術館メンバーでの「甘美な死骸」は”新年”というキーワードを設けました。するとどうでしょう…餅を焼く金網(2段目)の一部をウロコだと勘違いするファインプレーもあり、一体感あるヘビのような龍のような何とも一体感ある落書きが完成!この遊びをやる度に最後は描き手同士が集まり、笑い溢れる批評会となるのがたまらないんですよね。

シュルレアリスムという芸術運動が興ってから2025年で101年経つことになりますが、今なお彼らが嗜んだ遊びで盛り上がれるのは何とも不思議です。時には当時のシュルレアリストたちのように、偶然性を楽しみつつ、遊びながらアートに触れてみるのはいかがでしょうか。

甘美な死骸
サルバドール・ダリ/ヴァランティーヌ・ユゴー/ガラ・エリュアール/アンドレ・ブルトン
《甘美な死骸》1934年 ペン・インク・鉛筆/紙 公益財団法人諸橋近代美術館蔵
※参加者が4人の場合、紙を4つに折ってから順番に誰が何を描いたかを見ないように
自分の担当部分を描くという遊び。この遊びのテーマは原則として人体であった。
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