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コラム

印象派と20世紀の巨匠たち―ピカソ《貧しき食事》

2013年10月03日 更新

常設展「印象派と20世紀の巨匠たち」から、ピカソの版画作品《貧しき食事》をご紹介します。

ピカソ《貧しき食事》1904年

ピカソ《貧しき食事》1904年

画面中央には肩を寄せ合う男女が描かれています。男性は目が不自由なのでしょうか?顔は不自然な方向を向いていますが、しっかりと女性の肩を抱いています。2人の前には一瓶のワインと一片のパンしかありません。
題名通りの貧しき食事ですが、女性の口元はかすかに微笑んでいるようにも見えます。

当時、極貧状態にあったピカソは社会的に困窮した生活を送っていた人々を叙情的に描きました。《貧しき食事》に描かれている男性は1903年に制作した油彩画《盲人の食事》の男性によく似ています。
また、貧しい男女の食事の情景は同じく1903年に油彩画《貧者の食事》でも描いています。
1903年に描かれたこれらの作品は人生への悲哀に満ちていますが、1904年に制作された《貧しき食事》は女性の微笑みから貧しい生活の中にも喜びや幸せがあるというメッセージを読み取ることができます。

ピカソが「青の時代」から「薔薇色の時代」へと移り変わっていく時期に制作した初期の傑作です。

ピカソ《盲人の食事》1903年

ピカソ《盲人の食事》1903年

ピカソ《貧者の食事》1903年

ピカソ《貧者の食事》1903年

執筆者:学芸員 稲田由希

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