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コラム

印象派と20世紀の巨匠たち―アンリ・マルタン《牡丹の花瓶》

2014年10月21日 更新

アンリ・マルタン(1860-1943)はフランスの家具職人の家に生まれました。幼い頃から絵を描くのが好きだったマルタンは美術学校へ進みます。そこで優秀な成績を収め、奨学金を得て芸術家が集まっていたパリへ出ました。パリでジャン=ポール・ローランス(1838-1921)のアトリエで学び、23歳の頃サロンで一等賞を獲得。1885年には新たに奨学金を得てイタリアを巡る旅をしています。

イタリアではルネサンス以前のイタリア絵画から影響を受ける一方で、その明るく鮮やかな風景に刺激を受けます。また、新印象派の画家たちと交流し始めたのもその旅がきっかけでした。マルタンはそれまでのアカデミックな技法に新印象派の点描画法を取り入れ、安定した構図の中に華やかで光を感じさせる色彩で人物や風景を多く描いています。マルタンへの評価は当時から高く、1895年のパリ市庁舎装飾画をはじめ、公共建築装飾の注文を多く手がけました。

当館所蔵の《牡丹の花瓶》は点描画法での光の表現や、花瓶の端正な描写にマルタンらしさが見える作品です。

アンリ・マルタン 《牡丹の花瓶》制作年不明/板に油彩

アンリ・マルタン
《牡丹の花瓶》制作年不明/板に油彩

掲載日:2014年10月21日
執筆者:学芸員 稲田由希

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